あなたも国籍を変えればほかの国の代表になれる?!スポーツと国際ルールを考えてみる
こんにちわ!古橋です。
とうとう年も明けてオリンピックの年になりましたね!
さて、あなたもオリンピック選手になってみたいと一度くらいは考えたことがあると思います。しかし、1億超の人口を抱える日本では正直厳しい・・・。
だったら国籍を変えてみるのはどうでしょうか?最近では2012年の猫ひろしさんが有名になりましたね。
ただ、いきなり変えて出られるの?そんなことを気にしながら見ていきましょう!
前半は国際法の国籍の決まり方、後半は実際の事例を見ていきます。
そもそも国籍とは、「国家と(私)人を結ぶ法的な結びつきのこと」のことです。
要するに人と国を法で結んでいるもの、ということです。
国籍を与えられるのは、生まれたらもらえるもの(先天的)とあとあと申請するもの(後天的・帰化)の二つがあります。
国籍の付与の仕方はそれぞれの国に任せられています。
先天的なものは下の図を参考にしてください。
簡単に言うと生まれたところで決まるパターン(生地主義)と親の国籍で決まるパターン(血統主義)の2つが存在します。
その血統主義でも両親のどっちからも選べる国、父母それぞれで決まる国と国があります。
この考え方の問題点は、重国籍や無国籍者がでてくることで特に無国籍者は問題となっています。(例:アメリカ人とカナダ人の子が日本で生まれたとき無国籍)
実際に救済する条約を整備しようとしているものの、まだ多い条約でも80か国程度しか締結していません。(無国籍者の地位に関する1954年条約、無国籍の削減に関する1961年条約)
さて本題のオリンピックの出場についてですが、簡単にいえば両国に認められて国籍変更できれば出場は認められます。
ただし、これは競技によってことなります。
実は前のオリンピックは日本代表ででたけど、次のオリンピックはモンゴル代表で出る、みたいなことが可能なんです!!(後述、事例2参考)
競技によってルールを事例とともに見てみましょう。
日本人の父母を持ち、日本国籍の瀧崎は、カンボジアからオリンピックマラソン代表の打診を受けて2011年にカンボジアに国籍を変更した。その後2012年ロンドンオリンピック代表に内定した。しかし、国際陸上連盟は(1)連続した1年の居住実績(2)国際陸連理事会による特例承認、のいずれもないことに加えて、新たにその年より自国での代表経験の項目を追加しこの出場について拒否した。特例申請も認められずカンボジア側は他の選手を手配することを発表した。
その後、2014年のアジア大会など様々な大会にカンボジア代表として出場し、2016年のオリンピック選手に内定し出場を果たした。順位は完走者140名の内、139位(2時間45分55秒)であった。
これは陸連のルールですね。特にマラソンは1か国1人の救済出場枠があるのである程度厳しくしないといけませんね。
事例2:アンヒョンス国籍変更問題
韓国人のアンヒョンスは2006年のオリンピックスピードスケート競技で3枚の金メダルを獲得する活躍をした。しかし、自身のケガに加えて、韓国スケート連盟から冷遇を受けたことで2010年のオリンピック代表を外された。この事態を受けて、スケートに専念したいという理由でロシアに2011年に国籍を変更した(露名:ヴィクトル・アン)。これについて、朴大統領も言及するほどの大問題に発展した。この国籍変更は両国から認められて2014年のロシアオリンピック代表に内定し、再び金メダル3枚を獲得する活躍を見せた。
このように認められて他国で出場できるパターンもあります。ただし、これは本当に競技によって違い、例えばサッカーは国籍を変えても1か国以外出場できないです。
実は、この国籍のルールはいまだに問題を多く抱えていて、最近では前回の五輪で女子団体の卓球の準決勝出場国の選手が12人中8人が中国出身で世間を騒がせました。(進出したドイツ・シンガポールの6人のうち5人が該当)
まとめると
国籍は人と国を結ぶもので、国によって国籍の与え方が異なる。
出場のルールは競技によってルールは異なりますが、大抵の場合国籍を変えても出場が認められるということです。
最後まで御覧いただきありがとうございました!!
参考文献
https://thepage.jp/detail/20130614-00010005-wordleaf
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0804T_Y2A500C1CR8000/
https://matome.naver.jp/odai/2139313446833198901
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/199100/1
カルロス・ゴーンは日本に戻ってくるの??~ゴーン逃亡から考える国際法「犯罪人引渡し」~
こんにちわ!古橋です。
今日のテレビはどこもかしこもゴーン一色ですね!
そこでみなさんも疑問に思ったのは、「なんでレバノンはゴーンを返さないの?」「ゴーンは日本に戻ってくるの?」だと思います。
今回はゴーンが日本に戻ってくる可能性を国際法から簡単に見ていきましょう!
まず、二国間(日本・レバノン)の引渡しを考える上で二つの犯罪の種類があります。
一つ目は普通犯罪です。
その名の通り、殺人であったり、強盗であったり、普通の犯罪のことです。
もう一つは政治犯罪です。
簡単にいうと、
絶対的政治犯→革命やクーデターを計画するといった純粋に政治秩序を侵害して国外に逃げたもの
通説では引渡しは行われない
(参考 尹秀吉(ユンスンギュル)事件:朝鮮より不法入国した尹が、日本で反韓運動し、強制帰国させるか争わせた事件。1969年地方裁で引き渡すべきではないとされたが、高裁で引渡しとなり1976年最高裁判決で上告棄却された。しかし、現在では1審判決が支持されているのが多数説である。)
相対的政治犯→絶対的政治犯と同様に政治的なものであるが、その過程で殺人や強盗などもしてから、国外逃亡した場合
通説では引渡しはグレーゾーン(法律によってそれぞれ見解が分かれる)
今回のゴーンは金融商品取引法違反なので普通犯罪ですね。
次に日本とレバノンで犯罪人引渡し条約が締結されいるのかですが、残念ながら日本が締結しているのはアメリカと韓国のみです。
※ちなみに2012年現在で米は69、英は115か国と締結。欧州では多国間条約(欧州犯罪人引渡し条約)も存在。
それでも以下の条件が揃っていれば引渡しがおこなれる場合があります。
1. 重罪であること
2. 罪に対して両国の刑法上の犯罪者である(双方可罰性)
3. 被請求国(レバノン)の国民でないこと
1に関してはゴーンは殺人等は犯していませんが、してきたことを見ると軽い罪とは言い難いので満たしていると考えます。
2に関してはレバノンの法律まではわからないので保留としますが、日本の金融商品取引法を違反すると刑罰が与えられことがあるので満たしていると言えます。
最大の問題は3についてで、ゴーンはレバノン人です。
慣習法(明文化されていないが根付いているので法として扱われるもの)では、自国民は引き渡さないことされています(例外:米・英)
よって国際法の観点からはゴーンが引き渡される可能性は低いと言えます。
ただこれはあくまでも国際法の視点であり、実際には政治的判断で引き渡す可能性は十分にあります。要はレバノンが日本との関係を重んじるか、それともゴーンから得られる利益のほうが大きいか天秤にかけた結果がでることでしょう。
今日の内容をまとめると、
「ゴーンは国際法の犯罪人引渡しで考えると、普通犯罪が適用され、レバノンは自国民を守る可能性が高いため、引き渡される可能性は低い」となります。
最後までご観覧いただきありがとうございます!
参考文献・写真引用
http://www.ipo-navi.com/closeup/disclosure/violation/